【佐藤家の朝食、鈴木家の夕食】LGBTQ当事者レビュー
\この記事の信頼性を書いておきます/
自分自身もLGBTQの当事者でトランスジェンダーFTM(女→男)
ドラマや映画を呼吸するように見る人
将来的に自分で映画やドラマを撮影し、LGBTQの理解に役立ちたい人
佐藤家の朝食、鈴木家の夕食とは
2013年にBSテレ東で放送された特別ドラマです。主演に山崎賢人さんを迎え、レズビアンのカップルとその子供とゲイカップルとその子供の家族の話と思春期の葛藤を描いた作品です。
ちょっと固い内容なのですが、現実的というか、LGBTQのカップルがぶつかる壁を赤裸々に語っているので、とても良い内容だと思いました。
あらすじ
レズビアンカップルの元で育てられている佐藤拓海(山崎賢人)の向かいの家にゲイカップルとその子供(小林涼子)が引っ越してくる。拓海は、自分がどう産まれたのか、自分の父親は誰なのか気になり、自分の家族が普通じゃないことにいら立つ。そんな時に向かいのゲイカップルに育てられたそらは、普通の家族になりたいと父親とパパと喧嘩し、家を出る。2人で車で逃亡し、自分の家族と普通の間で葛藤することになる。
伏線回収
風船
女の子が手を離してしまった風船が伏線となっており、そらは風船が好きで欲しいと言ったのではなく、風船を持っていた普通の家族の子供と一緒になりたかったという伏線。
種なしスイカ
種なしスイカは、薬品を使って人工的に配偶子ができないようにする=自然にできた物ではない=自分たちと一緒ということを表す伏線となっています。
拓海は、代理母で生まれた子供と言うのが最後の方で説明があったので、拓海=種なしスイカという伏線。
何回も出てくる【普通】という表現
このドラマでは、【普通】【普通じゃない】という表現が何回も出てきます。
2013年制作のドラマということも少しあるかもしれませんが、この日本は【普通じゃないといけない】という世の中です。
2022年現在【世間体】や【普通】ということが少しだけ崩れてきて、多様性などと言われていますが、まだまだ【普通】に縛られてしまう世の中だと感じます。
また、僕自身もそうでしたが、自分が一番【普通】という事にこだわってしまって、周りの人と比べて、【自分は普通じゃない】と思ってしまうので、当事者の子供達という視点からは適切な表現かなと思います。
ただ、何もバックグランドのない人が2022年の今見ると、普通という表現多くない?と思ってしまうかもしれないです。
どうやったら見れる?
U-NEXTとFOD PREMIUMで無料で見ることが出来ます!
- 31日間無料トライアル期間があるので、さくっと見まくって31日以内に解約しちゃえば実質無料で見れちゃう!!!
- 600ポイント付与されるのでそのポイントを使ってレンタル作品を見れちゃう!
- 月額2189円(税込み)で22万タイトルが見放題!!(2万タイトルがレンタル)
当事者から見る気になるところ
当事者同士の愛の話は割とあるが、子供の感じ方主体のドラマは珍しい
『his』や『きのう何食べた』は、同性カップルと周りの関わり方の話ですが、この『佐藤家の朝食、鈴木家の夕食』は子供とレズビアンカップル、子供とゲイカップルの話なので、他のドラマとは違う切り口からの話の展開になっていて、とても良い物語だと言えます。
LGBTQと一括りにしても、色々な人がいて、色々な家族があるので、色々な種類のドラマや映画がもっと作られると良いなと思っています。
現実の同性カップルやFTMカップル
同性カップルやFTMのカップルが子供を欲しいと子供を設けるケースが最近すごく見られるが、当事者の自己満でその子供のことを考えたり、子供のことを話し合って子供を設けるカップルはどれくらいいるのだろうか。
また、その子供たちが大人になっていない現状なので、子供たちがどう思うかもまだわからないのが現状でもある。
性別なんかなければいいのに
性別に関わらず子供が出来れば、性別なんてなければいいのに。そんなセリフが何とも言えない気持ちになった瞬間でした。
ママが家庭に居ないということを普通じゃないと思っているというのが物語が進むにつれて分かってくるんですよね。
パパと子供を作って、その後お父さんと子供を作ったら本当の家族になれるよ
衝撃的な一言でしたね。思春期の子供だから言う発言かもしれないけど、なるほど、そう来るか!というセリフでした。
自分がママになれば、その産まれてきた子供にとっては、普通の家庭になる。自分がママになることによって、ママが居ない家庭じゃなくなる=【普通になる】ということなんだろうなと。
海外だと、カミングアウトをして、子育てをしているカップルも珍しくないので、この発想は日本ならではなのかもしれないですね。
カエルの子はかえる
拓海は自分は、普通じゃない(レズビアン)の家庭で育ったから自分も普通じゃない(ゲイ)だと最初思っていたという描写が描かれていますね。
大人なDVDに興味を示さない所や女子の可愛いが分からないという所から読み取れると思います。
結局、そらとしてしまうので、自分は普通だ!という結果になって少し晴れた表情なのかなと思いました。
性的指向(誰を好きになるか)は、環境が優位に働くわけではないので、カエルの子はカエルという理論は成り立ちませんが、レズビアンやゲイカップルの子供がそう思ってしまう可能性も無くはないなと思いました。
僕がもしレズビアンに育てられた思春期の子供だったら、同じような境遇の日本人を探すかもしれないなと思いました。
拓海くんからしたら僕(叔父さん)が父親です
拓海とそらが車でいなくなってしまった時のこの台詞しびれましたね。全てのゲイカップル、レズビアンカップル、ノンケカップルでも代理母とかで生まれた人たちがこのような問題を抱えるとは限りませんが、思春期の子供からしたら、なかなか難しいかもしれません。
おじさんが子供を設けようとして、もし子供ができなかったら、拓海のことをどう思うんだろう?拓海が大きくなってきて、おじさんと性格や顔が似てきたらどういう気持ちになるのだろう?そういうことを発信している人が居ないので、未知数ですが、ネガティブな僕は色々と考えてしまいます。
また、現代の日本で代理母で生まれた人やレズビアンの子供などのコミュニティーがあまりないと思うので、話をしたり、共感したりする仲間がいないのが、ちょっとアレだなと思いました。
僕はトランスジェンダーなのですが、世間に情報が出てこない時から、コミュニティーがあって情報交換ができていたので、話を聞いたり、共感したりできていたので、コミュニティがないのは、なかなか厳しそうと思いました。
私みたいのは子供を欲しがっちゃいけないの?
おじさんが、拓海くんはもう大人だよ、一生背負って生きていくんだよ?と言ったときに、レズビアンのカップルがいったセリフがそうだよね〜と。
私みたいのは子供を欲しがっちゃいけないの?その権利すらないの?愛する人との間に子供が欲しい、普通のことじゃない?
親のエゴVS子供のことを考えている叔父さんという構図ですね。
親のエゴに寄り添うなら、権利はあるよ、手段もある。そして、愛する人との間に子供が欲しいというのは、普通だよ。だけど、世間がそれを許さないよねって感じですかね。
子供を作るなら、20歳になったら『あなたは代理母で産まれたんだよ』言うとかではなくて、ある程度大人になったら時期を見て言うのがいいのかもな〜と思ってしまいました。
マーケティングが下手
結構前の作品だが、このLGBTブームに乗れるように動画配信サービスに出すサムネを変えないと誰も見てくれないと思う。
このドラマの見どころは、山崎賢人がLGBTの話に出ているではなく、レズビアンカップルとゲイカップルが子供を育てていると言うところなのに配信サービスのサムネが山崎賢人なところがマーケティングが下手すぎると思ってしまった。
LGBTの当事者の僕でさえ、山崎賢人がサムネに出てきた時に、見るのを躊躇したので、もっと誰もが分かるサムネに変えればいいのにと思いました。
全体を通して
全体を通して言えるのは、もう少し少数派の人に優しい世界になったらいいな〜と思ってしまいました。
そして、この日本で少数派の人が子育てをするには、なかなか厳しそうというか、壁しかなさそうで、自分は子供はいいかなと思ってしまいますね。
もっともっと色々な作品が増えて、色々な人が考えるきっかけになって欲しいなと思いました。
佐藤家の朝食、鈴木家の夕食は2022年2月現在、U-NEXTで31日間無料で観られます!ぜひこの機会に見てみてくださいね!