映画きのう何食べた?をLGBTQ当事者がレビュー
\この記事の信頼性を書いておきます/
トランスジェンダー当事者(FTM)
LGBTについて情報を発信している人
役者にもなりたくて映画ドラマが好きな人
『きのう何食べた』とは
モーニングで月1連載中の漫画が原作のゲイの物語です。
2019年にドラマ化され、深夜ドラマだったのにも関わらず、話題となりました!漫画が原作ということで、原作ファンがいたということと、その頃から、タイのBLドラマが流行ってきたのもあり、一気に話題沸騰となりました。
2021年11月には待望の映画化になり、1ヶ月足らずで、興行収入10.2億円超えというすごい記録も打ち出しました!
最近のBLブームについて
ここ最近BLドラマブームとなっています。ことの発端は、タイBLドラマです。
BLが熱いらしいにも書いてあるように2021年頃からタイのイケメン同士の恋の行方にタイ本国からストリーミングでアジアから世界へとBLブームが加速しています。日本でも『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』と言うドラマが人気爆発し、Twitterの世界トレンドを取る勢いでした。主演の赤楚衛二くんはそこからブレイクをしましたね。
そこから視聴率や人気が取れるからと言う理由で日本でもBLドラマは1クールに1つはあると言う状態になっています。
当事者から見る気になる所
お母さんの理解したいけど理解できない実状
ドラマでもあった通り、シロさんのお母さんはシロさんがゲイであると言うことを理解しきれていません。ドラマでは、シロさんが高校生ということもあり現代の時間軸よりも前だったり、世間の理解が追いついていなかったりとかもあるかもしれません。
映画の現代でもお母さんはシロさんがゲイであると言うことを理解しきれていません。映画では、それがすごくリアルに描かれています。
お正月にお母さんから『実家にケンジを連れてこないでほしい』と言うことをいきなり電話で告げられるシロさん。
ドラマで描かれたお正月の楽しい雰囲気は??え??と思う方も多かったと思います。
電話でお父さんから訳を聞くと、お正月が終わった時にお母さんが倒れてしまったと。
頭では理解しているつもりだったお母さんだが、実際に自分の息子が『ゲイ』だということを目の当たりにして、ひげもじゃの男性のパートナーを連れてくると言うのは、お母さんにとってなかなか難しいことなのかもしれないですね。
LGBTと叫ばれているのもここ最近のことですし、シロさんの年齢を考えるとお母さんの年齢も結構いってそうなので、致し方ないと言えば、いたしかないと言えるかもしれないです。
だからこそ
でもだからこそ、リアリティがあるので、LGBT当事者の心を掴む内容になっているのではないかと思っています。簡単に理解できる内容ではないですし、日本の中のこれまでが男は女と結婚すると言うものであったのは間違い無いので、理解したいけど、理解できないという方は多いと思います。
TVで扱われたりするものって御涙頂戴で終わるようにできているので、理解しきっている方々の特集しか組まれません。
ジルベール達との絡み
LGBTの人たちにとって大切なのが当事者の人たちとのコミニティーです。情報交換などでもすごく有意義なものだと思いますが、僕の経験上、日本だからこそってのもあります。
どういうことかと言うと、日本は普通が一番良いという考え方なので、LGBTだと普通じゃないという枠に入ってしまいます。そうすると自己嫌悪に陥ったりするので、同じような境遇の人とのふれあいというのはとても重要なものになってきます。
ゲイということをあまり言いたくないシロさんにとって、このジルベーツたちとの出会いは、すごく刺激的にもなったと思います。
ジルベール役に磯村くんを使う配役
ここ1,2年で風向きは変わってきましたが、流行りのイケメンを使うのは、イメージがつきすぎるという芸能事務所側のリスクもあったりします。おっさんずラブの2ndシーズンに林遣都君が出なかったのもスケジュールの都合と言っているけど、ほぼそのはずです。
そんな中、磯村君がジルベール役をやったのも、個人的に嬉しかったポイントです。イメージがつきやすいからという理由でゲイ役ができないということは、いつまでもLGBTが普通じゃないということを突きつけられている気がするのです。
LGBT以外の視聴者も虜にする料理
この映画・ドラマがここまでヒットした理由に一つにシロさんが作る料理があると思っています。男2人なのに家計に優しい料理だったり、サラリーマンをしているのにいつも素敵な料理を作っているシロさんの家庭を羨む人は多いと思います。
特に仕事をしていて、あれだけ美味しい料理を作っているのに月2,5万で食費をやりくりしている姿は節約をしたい人みんなが脱帽なんじゃないだろうか。
LGBTに偏ってしまうと少し堅い内容になりがちなので、誰でも生きるためにする料理というものを使って、マジョリティ(多数派)の人達を巻き込んでいるという完璧な作りになっています。もう完璧!!
そのあとが気になる
この映画・ドラマの一番の強みは、どこかでシロさんとケンジがずっと一緒に生きている感じがする所だと思います。
映画の一番最後のシーン、桜の木の下でお花見をするシーンで終わりましたね。
この先もずっと永遠にこの2人が一緒に生きていく未来しか見えないような作りになっているのは、すごく強いですよね。
きっと来週も再来週も同じようにピクニックして、買い物して、美味しいご飯作るんだろうな〜って。そう思わせてくれる世界観を漫画・ドラマ・映画で作れたからこそ、映画の興行収入が1ヶ月足らずで10.2億円にいったんだろうなと思います。
映画第二弾はあるのだろうか?ドラマの第二弾や特別版はまた製作されるのだろうか、そんな思いを馳せながら、首を長くして待とうと思っています。
LGBTQについて、この2,3年ですごく変わってきたと思っています。もっともっと映画やドラマで扱うようになって、より身近に感じられるようになってもらいたいなと思っています。