可視化=理解ではなかったタイのLGBTQ【タイBLから見えた世界】
僕は自分の性別適合手術をした時にタイの自由さに魅了され13年ほどタイと日本を行き来してきました。
その時に思っていた性別に寛容なタイとBLドラマで描かれる狭量のタイ。僕の見てきた物は何だったんだろうか。何?幻だったの?そんな風に思ったので、今回この記事を書いています。
\この記事の信頼性を書いておきます/
19歳の時にタイで性別適合手術(女→男)をし、タイに魅了された人
13年間タイと日本を行き来し続けている人
ターンタイプでタイBLに魅了されタイBLを見続けている人(現在6作品目鑑賞終了)
可視化されるタイのLGBTQ
タイでは日本よりもLGBTQが可視化されています。ゲイやオネエを売りにするバーなどが観光の一部になっています。これを読んでいる人も1回くらいは行ったことがある人がいるかもしれないですね。
行ったことがなくても、TVのタイ特集で見たことがあるかと思います。
スタバやその辺のカフェではオネエっぽい人やMTF(トランスジェンダー)の方が働いていますし、トムボーイと言うFTXみたいな人たちが街中を女の子のパートナーの人らしき人と手を繋いで歩いています。
ゲイの方は見るからにゲイって出立で街中を闊歩しています。ゲイ同士が街中で手を繋いでようと特に何もなく、それが日常って感じで割とあるあるな光景として認識していました。
そんな街並みを13年前から見ていた僕は、可視化されていて隠れなくて良いタイが良いなと思ったりしていました。日本では隠れなきゃいけないし、隠さなきゃいけない。隠していなく、オープンにしている人も居るけど、隠して生きていった方が断然生きやすい。
そう思って生活してきました。
なので、僕は、日常生活は自分のセクシャルについてオープンにして生活をしていません。
いわゆる、埋没という生活スタイルをとっています。TwitterやInstagram、YouTubeでは、カミングアウトをして生活していますが、日常の生活ではごく普通の男性として生活をしています。
最近タイBLをよく見るようになって僕の思っていたタイのイメージが一変したのです。今まで僕が見ていたタイはなんだったんだ!!!と思うようになりました。
イケメンのイチャイチャだけではない社会派の側面を持っているタイBLドラマ
BLドラマを見るまでは、どうせイケメンとイケメンのイチャイチャなんでしょ、腐女子の見る物だよね〜って思っていたのですが、全然そうではないんですよね。
物語の中に社会的な側面のエピソードが結構出てきます。社会的な物よりも主人公のイケメン同士の恋の行方が気になる展開にはなるのですが、見方を社会的な問題をクローズアップする見方にすると結構色々と見えてくると思います。
幼い時にゲイの方に悪戯をされて、それがトラウマとなり、ゲイの人全体がすっごく嫌いな人。でも、大学の寮で一緒の部屋になった人がゲイで、最初は嫌っていたのですが、どんどん気になる。でも、幼い頃のトラウマもあるし、と悩む人。そして、親にカミングアウトをしても、なかなか男性と付き合うのを認めてくれないと言う心の葛藤。
ずっと自分がゲイだと気づいていたけど、誰にも話せずに友達にやっと話せた瞬間に泣いちゃう主人公。友達の温かい言葉により、やっとの思い出お母さんにカミングアウト。『お母さん、僕のこと嫌いにならないで』と言う台詞が切ない。そこの場では理解はしている母であったが、友達から送られてきた悪意のある動画で息子のカミングアウトより先にゲイであることを知ってしまって涙する母の姿。
社員旅行でキスしていたのを写真に撮られ、その写真を全体ラインでシェアされてしまい、社員みんなの笑いものになる。その後、社員全員へカミングアウトをする。その際に、みんなからの見てくれがすごく怖かったと心情を吐露するシーン。
ゲイを自覚した人がノンケの人に自分はゲイだと伝えたいけど、カミングアウトなんかしたら嫌われちゃうかもしれない。でも、カミングアウトをし、告白をしないと好きな人が違う人のものになってしまうかもしれないという心の葛藤。
僕が思い描いていたドラマよりもすごく深いメッセージ性を感じています。
ゲイの方々が堂々と街中を歩いているのを見ていたので、ドラマで『自分がゲイなのを友達に言えない』『親にゲイだと言えない』『親がいつまで経ってもパートナーとのことを認めてくれない』そんなことをタイのドラマで聞くとは思っていなかったのです。
みんな親にはカミングアウトし、みんなが理解を得ているように感じていました。
カミングアウトをされた相手は、みんな理解してくれているんだろうな〜、親もあまり気にしないんだろうな〜、そう思っていました。
ドラマの全てが現実に起こっていることではないとは思いますが、全く違う背景にすると視聴率の維持が難しくなると思うので、社会的背景は似たような物になると思っています。
このメッセージから読み取れるのは、そこまでLGBTQに対しての理解が進んでいるわけではないと言うこと。『可視化されている=理解がある』その方程式は間違っていたんだなと。
イケメンの恋の行方とその俳優同士の仲の良さがクローズアップされますが、このような見方をすると深いメッセージも読み取れるので色々な国のドラマを見るのも面白いですよね。
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性別変更ができない国
タイと言う国でどんなイメージがある?と聞くと大体3つ目くらいに出てくるのが、性転換の国というイメージだと思います。確かに、性転換はビジネス化され、年間の手術数は多分世界一だと思います。
日本人以外にも白人の方々や中国人が性転換をしに訪れ、ほぼ毎日のように手術が行われています。
このコロナで海外へ行く人は激減していますが、日本人も体感8割くらいがタイで性別適合手術をしていると思います。皆さんが知っている日本のオネエと言われる人たちもかなりの割合がタイで望みの性への手術をしています。(誰とは言いませんが、渡航した時に同じ病院へ居たこともあります。同じエレベーターに乗っていました…。)
そんな国なのに性別の変更は認められていないのです。(日本は性別の変更が一定の条件をクリアすると認められています。)(僕も戸籍上の性別の変更済みで20歳の時に女→男となっています。)
以前、タイ人と日本人のハーフの友達が性別の変更ができるように訴えに行ったら、『あなたは甘い』と言われたそうです。
【街中のゲイやトランスジェンダーの人は楽しそうに生きているじゃないか。だから性別の変更はいらない。それで楽しく生きていけないあなたは甘いと】
お国型というか、南国の国あるあるのような気がしますが、割と自由で陽気な国民性の国が多いので、このような意見も分かる気がします。
ですが、全ての国民が陽気なわけではないですし、発展途上のインフラが整っていない国からインフラが徐々に整っている国になってきているので、海外の情報が携帯やインターネットで入ってくる時代でもありますよね。
個人的には、トランスジェンダーでもないどこかのあなたに甘いとか言われたくないですけどww
どんなに南国で陽気な人々がいる国であっても、性別やセクシャルについてめちゃくちゃ悩む層はいると思うので自分が自分らしく生きるには、性別変更は認められるべきだと思っています。
初めてのプライドパレード
LGBTQ先進国のイメージがあるタイですが、2022年6月5日にプライドパレードが初めて行われました!僕はこのニュースを見た時に思ったことは、なんで初めてなんだろう?と思ったくらいです。
僕自身はプライドパレードに参加したことはないですが、多様な性を認めてくれという訴えだと思っているので、この多様性の世の中、どの国でも開催されているとは思っていました。
日本のプライドパレードは、奇抜な格好している人が目立ち、ちょっとねぇと思うことも多いので個人的にあまり好きではないですが、海外のプライドパレードは、セクシャルに関係なくノンケの人たちも一緒に街中を歩きます。
そんな光景がすごく素敵だなと感じます。
LGBTQが可視化されているタイではもう何回も開催されていると思っていたので、かなり驚きました。
このことからもタイのLGBTQの理解度はまだまだなのかなと思いました。
しかし、タイのプライドパレードを調べてみると、日本ではあり得ないことがあったりとやはり国によって色々と違うなってことがあって面白いなと思いました。
初のプライドパレードと言うこともあってか、バンコク都の都知事さんもパレードに参加してくれたらしく、日本だったら絶対そんなことないので、すごく素敵だなと思いました。
東京都知事がプライドパレードに一緒に出る未来なんか想像できないですもんね。(本当は想像できる未来が優しい未来なんだろうけど、老害がたくさんいる日本の政治では難しいと思っています。)
エンタメになっている
日本でオネエブームになった時に感じたことですが、何かとエンタメにしたがる。そこにすごく嫌悪感を感じるんですよね。僕は人に笑われるために性別を変えたのではない。そう思ってしまったんですよね。
どういうことかというと、オネエブームの時に感じた違和感は、異質のものという演出が強いということ。普通のラインにいない人という違和感なのだ。
そして、気味が悪いのは異質の人という演出をノンケのおじさんたちがしていること。老害が何演出してんだよってずっと思っていました。
ノンケの人とトランスジェンダー、ゲイやレズビアン。同じ日本人で人間なのに人間じゃない扱いをしてくる。そして、そこにエンタメを求め、過剰に演出をかけることにより異質のものに仕立て上げる。それに違和感を感じました。
僕はTVやエンタメが大好きな人なのでドラマや映画にでたいな〜、演技したいな〜、そんなことを思っていたのですが、業界の理解のなさに失望しました。
今では、自分で映画やドラマを作りたい、作れるようになろうと思っているので、業界へ行きたいという気持ちはこれっぽっちも無くなってしまいましたが。
もっと色々な人に優しいタイになってほしい
色々と書いてきましたが、タイのことが嫌いでも批判したいわけでもないです。
タイは本当に好きな国で将来移住も考えているくらい好きです。そんな国がもっともっと色々な人に優しい国になったらいいなと思っています。
日本がタイよりもLGBTQに優しい国なのかと言ったら、そうではないと思います。トランスジェンダーの性別の変更はできますが、同性婚が認められる未来はまだまだ遠いと思います。
多様性の時代などと言われていて、若年層には理解が深まっているように感じますが、高齢社会の日本なので中高年以降がもっともっと理解してくれないと僕らが生きづらいと感じるのは続くと思います。
タイも日本もいますぐにというのは、難しいと思います。少しずつで良いので生きやすい世の中になり、僕らが胸を張って生きれる世の中になっていくことを望みます。
そのために自分自身に何が出来るのか、それは等身大の自分を曝け出すことかなと思っています。なので、これからもYouTubeやブログなどで自身の経験や考えなどを発信していこうと思っています!
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